結論
入社1年未満でも、傷病手当金は受けられます。
12カ月分の給与データがないときは、「ある分の平均」と「全被保険者の平均」を比べて低い方で計算します。
「新卒で入った社員がけがで欠勤しています。傷病手当金を申請したいのですが、支給額の計算は『直近12カ月の標準報酬月額の平均』と聞きました。まだ入社して数カ月なのに、どう計算すればいいのでしょう——」
このようなご相談を受けることがあります。新入社員に限らず、中途入社の方でも起こる、意外と知られていない論点です。
原則は「支給開始日以前の継続した12カ月平均」
傷病手当金の1日あたりの支給額は、原則として支給開始日以前の継続した12カ月間の各標準報酬月額を平均した額を30で割り、その3分の2を掛けて計算します。ここでいう「支給開始日」は、最初に傷病手当金が支給される日のことです。
12カ月分がないときは「2つを比べて低い方」
入社して間もない場合など、12カ月分の標準報酬月額がそろっていなくても、傷病手当金が受けられなくなるわけではありません。この場合は、次の2つを比べて、低い方の額をもとに計算します。
① 支給開始日の属する月以前の、継続した各月の標準報酬月額の平均額(=実際にある分の平均)
② 前年度9月30日時点の全被保険者の標準報酬月額の平均から求めた標準報酬月額
つまり「1年分ないから計算できない」のではなく、計算できる期間で平均を出し、基準額と比べて低い方を採用するという考え方です。協会けんぽの場合、②の比較に使う標準報酬月額は、令和8年度では32万円とされています。新卒社員の標準報酬月額が一般的な初任給水準であれば、多くの場合①の「実際にある分の平均」のほうが低くなり、そちらが採用される可能性が高いと考えられます。
ここに注意
健康保険組合に加入している場合は、比較対象となる平均標準報酬月額が協会けんぽと異なることがあります。協会けんぽの「32万円」をそのまま当てはめず、加入先の保険者ごとの取扱いを必ず確認してください。また、支給には「連続3日間の待期」の完成が前提で、支給対象は4日目以降の欠勤です。
申請前の、5項目セルフチェック
あてはまるものにチェックを入れてみてください。
チェック結果がここに表示されます。
従業員に「もらえないかも」と思わせない
入社間もない従業員がけがや病気で休むことになったとき、「まだ1年経っていないから傷病手当金は無理だろう」と本人も会社も思い込んでしまうケースがあります。制度を正しく知っていれば、本人の生活不安を抑えながら療養に専念してもらえます。会社側の制度理解が、従業員の安心と定着につながる場面です。
IBSグループでも、傷病手当金の申請手続きから、私傷病欠勤・休職制度の設計まで、ご相談をいただいています。「この場合は対象になる?」という個別の確認も歓迎です。
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顧問先の方は、上のセルフチェックの結果をそのまま貼ってご相談いただけます。
主な根拠:健康保険法99条/協会けんぽ 令和8年度の標準報酬月額に関する取扱い。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については最新の法令・保険者の取扱いをご確認のうえ専門家にご相談ください。
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