結論
試用期間の延長は「条件つき」で可能。
ただし2度目の延長は、裁判例上ほぼ認められません。
「採用してみたものの、適格性に少し不安が残る。試用期間を延長したい——場合によっては、もう一度延長できないか」
このようなご相談を受けることがあります。従業員の見極めと配慮のバランスが問われる、悩ましい場面です。
延長は、就業規則に規定がなければ原則できません
試用期間は、労働者の職務能力や適格性を見極めるために設けられる期間ですが、会社が自由に延ばせるものではありません。延長が認められるには、就業規則などに延長の可能性・延長の事由・延長期間が明確に定められていることが、原則として必要とされています。
そのうえで、適格性をさらに見極める合理的な理由がある場合に、本人の同意を得て、必要最小限の期間で行う——というのが安全な運用です。
「2度目の延長」は避けるべきです
裁判例では、「特に必要と認めた場合は、試用期間を延長することができる」という規定について、延長は1回限りと読むのが自然であり、延長が労働者の地位を不安定にさせることも考慮すると、延長は1回に限られると判断したものがあります。
また別の裁判例では、1回目の試用期間が満了した後に行われた2度目の延長について、延長期間の定めもなかったことから、相当な措置とは認められないとされました。「もう一度だけ」を前提にした運用は、トラブルの火種になります。
期間の目安は「通算1年以内」
試用期間は3カ月とする例が最も多く、1〜6カ月が大多数です。延長する場合も、元の試用期間と通算して1年以内がひとつの上限の目安とされ、合理的な理由なく長期間とすると公序良俗違反と判断されるおそれがあります。
ここに注意
延長は「判断の先送り」ではありません。裁判例では、延長期間中に「延長前の事実」だけを理由とする解雇は許されないとされています。延長するなら「何を見極め、何が改善されれば本採用するのか」を先に明確にしておく必要があります。
延長を考える前の、5項目セルフチェック
あてはまるものにチェックを入れてみてください。
チェック結果がここに表示されます。
その場しのぎではなく、制度として整理を
個別の温情対応で済ませてしまうと、後で他の従業員との公平性や、ルールの整合性が問題になることがあります。今回のケースを法定どおり処理するのか、法定外の特別休暇等で対応するのかも含め、制度として整理しておくことが大切です。
IBSグループでも、試用期間の運用の個別判断から、就業規則・採用制度の見直しまでご相談をいただいています。「うちの就業規則に延長規定はあったかな?」という段階のご相談も歓迎です。
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顧問先の方は、上のセルフチェックの結果をそのまま貼ってご相談いただけます。
主な根拠:大阪高判昭45・7・10(大阪読売新聞社事件)/神戸地判平30・7・20/東京地判昭60・11・20(雅叙園観光事件)ほか。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については専門家にご相談ください。
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