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ハラスメントの懲戒規定、「ざっくり」のままで大丈夫?――処分が書けない会社の落とし穴

結論

「事情により、けん責・出勤停止・解雇のいずれか」だけの規定では、措置義務違反とみられるおそれがあります。
対象となる言動・処分の程度を一定程度具体的に定め、公平な判断体制と弁明の機会をセットで整えるのが正解です。

「ハラスメントの懲戒規定を見直したい。ただ、どの行為がどの処分かを細かく書き切るのは難しい。『事情により、けん責、出勤停止、解雇のいずれかとする』という定め方でも問題ないでしょうか——」
このようなご相談を受けることがあります。カスタマーハラスメントや就活セクハラへの対応強化が求められるいま、就業規則の点検で必ずぶつかる論点です。

「禁止しています」だけでは足りません

セクハラをはじめとするハラスメント対応では、単に禁止を宣言するだけでなく、行為者に厳正に対処する方針と、その内容を就業規則等に定めて周知することが求められます。趣旨はハラスメントの「防止」にあります。だからこそ、従業員から見て、

・どのような言動が問題となるのか
・会社はどういう姿勢で対処するのか
・どの程度の処分があり得るのか

一定程度見える内容になっていることが重要です。「事情により、けん責、出勤停止、解雇のいずれかとする」だけでは、対象行為の輪郭が見えず、均等法上求められる措置として不十分とみられるおそれがあります。

全部は書き切れない——だから「運用」が効きます

一方で、規定を完全に網羅的・機械的に書き切ることは現実的ではありません。同じハラスメントでも、言動の内容、継続性、立場関係、被害の程度、本人の認識や反省状況によって、相当な処分は変わるからです。そこで重要になるのが、規定の明確さに加えて、

判断体制
中立・公平な審議
手続保障
弁明の機会
処分の決め方
調査→相当性判断

懲罰委員会やそれに準じる審議体制が整い、調査・聴取・判断の流れが社内で確立されていれば、多少包括的な規定であっても、秩序維持の仕組みとして機能していると評価されやすくなります。規定の文言と運用体制は、セットで考えるものです。

ここに注意

規程を整えて終わり、では防止になりません。現場管理職が「何を止めるべきか」、相談を受けたときに「どう初動対応するか」まで含めて整備する必要があります。カスハラ・就活セクハラなど近年対応が求められる類型は、とくに初動の質が結果を左右します。

就業規則と運用の、5項目セルフチェック

あてはまるものにチェックを入れてみてください。

チェック結果がここに表示されます。

研修は「ことを大きくする前」の沈静化にも効きます

ハラスメント研修は知識提供だけでなく、実際に問題となり得る言動をしている人への牽制として実施されるケースも少なくありません。相談が出始めた段階や、職場の空気が少し悪くなってきた段階で研修を打つことで、調査・聴取・懲戒検討といった「ことを大きくする」前に沈静化につながった事例も多くあります。

IBSグループでも、懲戒規定の見直しから、相談窓口の初動設計、ハラスメント研修の実施まで、ご相談をいただいています。「明確な事実までは掴んでいないが、気になる言動がある」という段階のご相談も歓迎です。

顧問先の方は、上のセルフチェックの結果をそのまま貼ってご相談いただけます。

主な根拠:雇用機会均等法/厚生労働省ハラスメント指針。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については最新の法令・指針をご確認のうえ専門家にご相談ください。

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