<TSモータース株式会社(仮名)>様(栃木県小山市)
◆ 業種:自動車販売・整備業(販売/整備/板金/修理/保険事務など多職種) ◆ 体制:従業員約11名 ◆ 代表:荒川様(50代・2代目/5年前に親族内承継・仮名)
※実際の支援事例をもとに、プライバシー保護の観点から社名・人物名は仮名とし、内容を一部再構成しています。
栃木県小山市で、自動車の販売から車検・整備、板金、修理、保険のご相談まで、車のことをまるごとお任せいただける会社をやっています。従業員は11名ほど。
先代である父が一代で築いた会社を、私が5年前に親族内承継で引き継ぎました。父はいまも元気にしております。
小さな所帯ですが、営業、整備、板金、修理、保険事務と、中でやっている仕事の"職種"はとても多いんです。地域のお客様のカーライフを丸ごと支える、町の車屋。それがうちです。
承継してから、おかげさまで事業は着実に伸びてきました。ただ、ひとつだけずっと引っかかっていたことがあったんです。
それは、私と同年代で"右腕"と呼べる従業員の、私の心の中での評価と、実際の賃金とが、大きく食い違っていたことでした。
彼は子どもが大学生で、すぐに会社を辞めるような状況ではありませんでしたが、だからこそ、彼の技術や努力、仕事への姿勢にきちんと向き合って、報いたい——その気持ちが、私の中で強く芽生えていました。
うちの評価は、長らく"勘"だけでやってきました。
先代はカリスマ的な人で、従業員の数も今より少なかったので、社長の頭の中だけで一人ひとりの能力も賃金も決めていた。結果として、その評価はおそらく妥当で、公平なものだったと思います。
ただ、社長の頭の中身は外からは見えません。
だから評価される側は、「なんであいつより自分の方が仕事ができるのに、賃金が低いんだ、賞与が低いんだ」と、全員がお互いにそう思ってしまう。そういう空気になっていました。
そこで相談したのが、まずは地元の商工会でした。商工会の専門家派遣の制度で、この分野に強い社労士・専門家ということでご紹介いただいたのが、IBSさんだったんです。
最初の相談では、先代からの事業承継のことから、いまの足元の悩みまで、腹にあるものを全部ぶつけました。
正直に言うと、私の中では「とにかく誰でもいいから吐き出したい。吐き出せば楽になるし、それで問題の半分は片付くだろう。専門家からきちんとした答えが返ってこなくても、聞いてもらえればそれだけで満足だ」——そのくらいの気持ちだったんです。
ところが、そこでIBSさんが返してきたものは、その期待を、いい意味で大きく裏切るものでした。
IBSさんはまず、評価制度というものが本来どれだけ"重い"ものかを、正直に説明してくれました。特に、うちのように職種が多い会社は、導入のハードルが一気に高くなる、と。
うちは販売・営業・整備・板金・修理・保険事務と、職種が5つ以上あります。
従業員は10名強ですから、1職種あたり2名程度しかいません。評価制度は本来、スタッフ・リーダー・マネージャーといった等級ごとに分けるのが基本形で、2人しかいない職種でも何段階にも切り分ける必要がある。
たとえば整備という仕事ひとつ取っても、初心者のスタッフから、皆をまとめられるベテランのリーダーまで切り分けると、仕事の分類は10以上、多ければ20〜30になる。それを等級ごとに評価項目にしていくと、1職種で60〜100、5職種で500を超える評価項目が要る計算です。
10名ほどの会社が、500もの項目を用意して運用する——経営者ひとりでは、とても成り立ちません。実際、もっと規模の大きな会社でも、現場のスタッフ、リーダー、経営陣と、最低3名×職種数の手がかかる。社長ひとりで決められるようなものではないんです。
その重さを正直に示したうえで、IBSさんは王道とはまったく違うアプローチを提案してくれました。
普通は「評価制度を作る→賃金テーブルを設計する→各人を当てはめる」という順番ですが、IBSさんは逆に、「まず賃金テーブルから決めましょう」と言うんです。
例えるなら、レンズ付きフィルム——いわゆる「写ルンです」のような発想の転換だ、と。
立派なカメラを安くしようとしても日常的に手に取れる値段には収まらない。
でも「フィルムに簡単な筐体とレンズを付ける」と発想を変えたら、誰もが買える値段に収まって大ヒットした。それと同じだ、と。
きちんと待遇したい従業員の"理想の賃金体系"をまずテーブルとして作り、そのテーブルに、各人に求める仕事のレベルや内容を簡易に紐づけていく。
この順番にしたことで、社長ひとりのリソースでも、この規模・この多職種にマッチした評価制度を、実際に導入することができました。
ただ、この評価制度は、仕組みだけで回るものではありませんでした。
仕組みを簡素にした分、足りないところを社長の"ソフトパワー"——つまり私自身が手をかけてメンテナンスする必要が出てくる。
それも、IBSさんは導入の前にきちんと説明してくれていました。
だからこそ私も、このやり方は自社に合っていると心の底から納得して、腹を決めて進められたんです。
具体的には、簡易な評価制度を補うために、毎月の1対1のミーティングで従業員としっかり話す。いまの課題や悩んでいること、目指す方向について、相談に乗る。そして半期に一度の目標面談と、その結果の測定で、賞与や昇給・昇格を査定する。この流れを取り入れました。
すると面白いことが起きました。
簡易な賃金テーブルを中心にした評価制度だったはずが、運用の中で従業員としっかり話す機会が生まれたことで、社長と従業員の関係がぐっと深くなったんです。いまや評価面談は、腹を据えて話し合うための"媒体"にまで育ちました。
評価だけでなく、その人のキャリアプラン、さらには家族のこと、子どもの進学先、家を建てる——そんなライフプランまで一緒に話す場になっています。
従業員から見れば一応の公平性が担保され、上を見て、前を見て働ける環境が整った。生産性も、一人ひとりの能力も上がりました。関係性は絆にまで進化して、離職も大きく減りました。
もちろん、あの右腕の待遇も、本人が納得する形で報いることができています。
「本来は重たいものを、うちの会社に合う形まで軽くして、実際に動く形で実装してくれる」ところです。
王道をそのままなぞるのではなく、社長である私の思い、会社の規模、職種の多さ——その全部を汲んだうえで、発想を転換した設計をしてくれました。
そして、「仕組みだけでは回らない、ここから先は社長のソフトパワーが要りますよ」と、いいことだけでなく、こちらの覚悟が要る部分まで最初に正直に言ってくれた。
評価のための評価ではなく、人が成長し、対話するための評価。IBSさんの言う「成長評制」という言葉が、いまはよく分かります。
労務の先生というより、まさに経営の参謀でした。
「うちは規模が小さいから」
「うちの業種は評価制度を入れにくいから」
——そう言って悩んだり、諦めたりしている社長さんにこそ、伝えたいです。
まずは一度、IBSさんに気軽に相談してみてください。商工会などの会員企業であれば、制度を使った支援を受けられることもあるかもしれません。
IBSの代表の正田さんは、地元商工会の理事はもちろん、商工会青年部の部長や、県の商工会青年部連合会の副会長も務められるなど、その活動にも積極的で、深い理解のある方です。
「商工会なんて何のために入っているか分からない」とおっしゃる方がいるのも承知しています。でも、うちはきちんと活用したからこそ、いまの会社と、この仲間に恵まれた。そのご縁を手にできたと思っています。
だから皆さん、どうか諦めずに、挑戦を続けてください。
評価制度を入れることで当社は間違いなく一つ上のステージに建てました。
このインタビューが「その一歩を踏み出すきっかけ」になったらとてもうれしいです。
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