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2026年の賃上げ相場――中小企業は4.01%。「防衛的賃上げ」はいつまで続く?

結論

2026年の賃上げは、大手中心の連合集計で5.02%、中小企業の実態調査では4.01%
3年連続で高い水準が続く一方、その多くは業績改善を伴わない「防衛的な賃上げ」です。見るべきは相場そのものより、自社が出した分を来年も続けられるかです。

「世間では賃上げ、賃上げと言うが、うちは出しすぎなのか、出さなすぎなのか。来年も同じだけ上げられる自信はない――」
賞与や来年度の人件費を考えるこの時期、このようなご相談を受けることがあります。2026年の賃上げ相場が出そろってきましたので、「大手の数字」と「中小の数字」を分けて整理し、経営判断にどう活かすかを考えましょう。

給与支給明細書のノート

「2つの賃上げ率」を分けて読む——5.02%と4.01%

ニュースで報じられる賃上げ率には、出どころの違う数字が混在しています。代表的なのが次の2つです。

① 連合の集計(5.02%)――労働組合のある企業が中心で、大手企業が相場をリードします。連合が6月4日に公表した第6回回答集計(6月1日時点)では、定期昇給相当分を含む平均賃上げ率は5.02%(うちベースアップ相当3.52%)。3年連続の5%超えに向け、最終集計(7月公表予定)が注目されています。

② 日商・東商の調査(4.01%)――回答企業の9割超を従業員300人以下が占める、地方の中小企業中心の調査です。6月8日公表の集計では、中小企業の正社員の賃上げ率は4.01%(月額11,366円)。同じ「2026年の賃上げ」でも、大手中心の連合より約1ポイント低い水準です。

連合・全体平均(大手中心)
5.02%
うちベア相当 3.52%
連合・300人未満(中小組合)
4.70%
第6回集計(6/1時点)
日商・東商・中小正社員
4.01%
月額 11,366円

大きく報じられる5%台は「大手を含む相場の旗」であり、多くの中小企業の実感に近いのは4%前後です。自社の水準を比べるなら、まず日商・東商の中小の数字を物差しにするのが現実的です。

規模が小さいほど、水準は下がる

同じ中小でも、規模によって差があります。日商・東商の調査では、従業員20人以下の小規模企業の賃上げ率は3.38%(月額9,170円)と、中小全体(4.01%)よりさらに低くなっています。賃上げを実施・予定する企業の割合は中小全体で71.3%(前年比+1.7ポイント)、小規模企業でも59.9%(同+2.2ポイント)に達しており、「上げざるを得ない」流れは小規模にも及んでいます

一方、2025年の中小の賃上げ率(4.73%)と比べると、2026年は4.01%とやや低下しました。物価や人手不足の圧力は続くものの、原資の限界から「昨年ほどは上げきれない」という企業が増えている構図がうかがえます。

7割超が賃上げ——でも「防衛的な賃上げ」が高止まり

「人手不足」と書かれた黒板

注目すべきは、賃上げの「中身」です。日商・東商の調査では、業績の改善を伴わない「防衛的な賃上げ」が引き続き高止まりしていると指摘されています。つまり、利益が増えたから還元するのではなく、人材を確保・引き留めるためにやむを得ず賃金を上げている企業が少なくない、ということです。

防衛的な賃上げは、人手不足のなかで人を守る大切な一手です。ただし業績の裏付けがないまま続けば、利益を圧迫し、いずれ「来年は上げられない」という形で限界が来ます。相場に合わせて上げること自体より、その原資をどう生み出し続けるかが本当の課題です。

ここに注意

賃上げを考えるときは、毎年10月に改定される最低賃金も合わせて見てください。基本給を相場どおり上げても、パート・アルバイトの時給が最低賃金の引き上げに追いつかなければ、秋に再度の調整が必要になります。賃上げは「春闘の数字」だけでなく、秋の最低賃金まで含めた1年単位で人件費を見通すのが安全です。

自社の賃上げ「相場との答え合わせ」セルフチェック

あてはまるものにチェックを入れてみてください。

チェック結果がここに表示されます。

経営者への示唆——「守りの賃上げ」を「攻め」に変える

相場の数字に一喜一憂する必要はありません。大切なのは、自社の賃上げが「業績の裏付けのある賃上げ」なのか「防衛的な賃上げ」なのかを見極めることです。防衛的な側に寄っているなら、賃金を上げ続けるためにこそ、同じ人数で生み出す付加価値を増やす(生産性を上げる)打ち手を並行して進める必要があります。

設備投資や業務改善で生産性を高め、その原資で賃上げを行う取り組みには、業務改善助成金など国の支援策を活用できる場合があります(公募状況・要件は変動しますので、最新の公募要領をご確認ください)。「人手不足だから上げる」だけでなく、「上げ続けられる体質に変える」という視点が、これからの中小企業の人件費戦略では欠かせません。

顧問先の方は、上のセルフチェックの結果を、そのまま貼ってご相談いただけます。賃上げ原資の確保や助成金の活用も、いつものチャットでお気軽にどうぞ。

主な出典:日本商工会議所・東京商工会議所「中小企業の賃上げ・賃金改定に関する調査(2026年6月8日公表)」/日本労働組合総連合会(連合)「2026春季生活闘争 第6回回答集計(2026年6月4日公表)」。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については最新の法令・公募要領等をご確認のうえ、専門家にご相談ください。

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