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「30分だけ年休」は取れる? 時間単位年休は"1時間"から――休憩を挟むケースの正解

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結論

時間単位年休の最小単位は「1時間」で、30分などの分単位は認められません。
休憩を挟む「11時半〜13時半」の請求は、休憩を除いた"1時間"の年休として扱うのが実務の整理です。

「昼休み前の30分だけ年休を取りたい、と社員に言われた。うちは30分単位の年休は認めていないので、11時から1時間取ってもらうか、休憩時間をずらすしかないのだろうか?」——このようなご相談を受けることがあります。時間単位年休は使い勝手のよい制度ですが、「どこまで細かく刻めるのか」「休憩をまたぐ取得はどう数えるのか」で迷いがちです。ルールを整理しましょう。

時計とノートとペン(労働時間・時間管理のイメージ)

時間単位年休の基本——「1時間」が最小、分単位はNG

時間単位年休は、労使協定を締結して初めて導入できる制度です(労働基準法39条4項)。協定では、①対象労働者の範囲 ②時間単位で与える日数(年5日以内) ③1日分に相当する時間数 ④1時間以外の時間を単位とする場合はその時間数の4つを定めます。ポイントは「年5日以内」という上限です。前年度からの繰越分があっても、時間単位で取れるのは繰越分も含めて年5日以内にとどまります。

単位は1時間が最小で、30分などの分単位は認められません。労使協定で「2時間」「3時間」といった整数の時間を単位にすることはできますが、その場合も1日の所定労働時間を上回る単位は設定できません。また、1日分に相当する時間数は所定労働時間を基に決め、1時間に満たない端数は時間単位に切り上げます(例:所定7時間30分 → 1日分は8時間として計算)。

最小の単位
1時間
分単位(30分等)は不可
時間単位で取れる上限
年5日以内
繰越分を含めて
導入に必要なもの
労使協定
+就業規則の定め

会社が"制限"できないこと——取得できない時間帯は定められない

時間単位年休を導入すると、会社の側で取得を細かく縛りたくなりますが、行政解釈(平成21年5月29日 基発0529001号)では、「取得できない時間帯」を労使協定で定めることはできないとされています。「繁忙時間帯は時間単位年休をNGにする」「1日に取れるのは○時間まで」といったローカルルールは、無効となるおそれがあります。対象労働者の範囲も、取得目的による限定(例:育児をする人に限る)はできません(事業の正常な運営との調整のために一部を対象外とすることは可)。

なお、時間単位年休も年次有給休暇ですから、事業の正常な運営を妨げる場合の時季変更権は会社にあります。ただし、労働者の「日単位」の請求を会社が「時間単位」に変えたり、その逆をしたりすることはできません。取得の刻み方を決めるのは、あくまで労働者です。

休憩を挟む「30分だけ」相談への答え——正解は"1時間"の年休

ご相談のケース(休憩が正午〜午後1時で、11時半〜正午の30分だけ取りたい)を整理します。まず30分は分単位なので、そもそも時間単位年休として取得できません。では11時半〜午後1時半のように休憩を挟んで請求されたら、どうなるでしょうか。

ここで効いてくるのが休憩時間の性質です。休憩時間は労働から完全に解放される時間であり(昭和22年9月13日 発基17号)、年休はもともと就労義務のない時間には成立しません。つまり休憩時間そのものに年休を取得する余地はありません。したがって、11時半〜午後1時半の時季指定は、間の休憩(正午〜午後1時)を除いた"1時間"の年休の時季指定として取り扱うのが実務の整理です。これを「2時間の年休」や「30分の年休を2回」と扱うことはできません。

結局、この社員の希望に沿うなら、11時から1時間の時間単位年休として取得してもらうのが素直な形になります。休憩時間帯を挟んだ"部分休"の仕組みが用意されているのは、育児・介護休業法の子の看護等休暇や介護休暇であって、労基法の時間単位年休にはその枠組みはない、と押さえておきましょう。

ここに注意

時間単位年休で取得した分は、いわゆる「年5日の確実取得義務」の5日にはカウントできません。年10日以上付与される人に会社が確実に取らせるべき5日は、日単位(または半日単位)での取得で管理する必要があります。使い勝手のよさから時間単位年休を入れても、5日の取得義務はそれとは別枠で管理してください。「時間でこまめに取っているから大丈夫」は誤解のもとです。

自社の「時間単位年休」セルフチェック

あてはまるものにチェックを入れてみてください。

チェック結果がここに表示されます。

経営者への示唆——「30分だけ」の声にどう応えるか

「30分だけ抜けたい」というニーズは、通院・送迎・役所の用事など、働く人にとって切実です。ただし法定の時間単位年休で分単位に応えることはできません。現実的な選択肢は2つです。ひとつは時間単位年休を1時間単位で導入し、柔軟に使えるようにすること。もうひとつは、会社独自の「法定外の特別休暇」や中抜け制度を別に設けることです。ただし後者(法定外休暇)は、年5日の取得義務にはカウントできない点に注意してください。

時間単位年休は、うまく設計すれば「休みにくさ」を解きほぐし、定着や採用にも効いてきます。一方で、労使協定・就業規則の整備、年5日義務との切り分け、取得制限をかけすぎない運用など、設計と運用の勘どころがあります。自社の制度が法令に沿っているか、この機会に点検しておきたいところです。

顧問先の方は、上のセルフチェックの結果を、そのまま貼ってご相談いただけます。

主な根拠:労働基準法39条4項・労働基準法施行規則24条の4(時間単位年休。1時間以外の単位・1日の所定労働時間を上回らない・年5日以内)/厚生労働省「改正労働基準法のあらまし(時間単位年休)」/平成21年5月29日 基発0529001号(取得できない時間帯を定めることはできない)/昭和22年9月13日 発基17号(休憩時間の性質)。本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の事案については最新の法令・通達をご確認のうえ、専門家にご相談ください。